水いぼ

子供の水いぼ(伝染性軟属腫)の原因や特徴・治療法

水いぼの原因と特徴

水いぼ伝染性軟属腫ウイルスによって起こる感染症です。
皮膚のバリア機能が未熟なお子さま(7歳以下が多い)によく見られます。
いぼの大きさは1~5mm程度で白色を呈し、水っぽい光沢のいぼのようになっていることから「水いぼ」と呼ばれることが一般的です。
軽度のかゆみがあり、かいてつぶしてしまうことでウイルスが広がってしまいます。
そのため、ひとたび水いぼができてしまうと、次々と感染が広がる危険性があります。
積極的に治療しなくても自然治癒しますが、個人差が大きくいつ治るかを予測することが困難です。

水いぼの感染経路

水いぼの感染経路は接触感染です。
皮膚と皮膚の接触やウイルスのついた手で皮膚を触れることにより感染します。
水いぼの中の白色の物質にウイルスが含まれており、このウイルスが皮膚に接触することで水いぼを発症します。
ウイルスが接触して2~7週間後に発症することから、感染時期を厳密に特定することは困難です。

水いぼの治療

水いぼの治療には大きく2種類に分類されます。

  • 自然と治癒するのを待つ
  • 外科的に切除する

どちらが正解というものではありませんので、ご両親やお子さま、医師と相談して決めると良いです。
ここでは、各治療法のメリット・デメリットをお伝えします。

自然と治癒するのを待つ

この方法の最大のメリットはお子さまの苦痛がないことです。

一方で、デメリットとしては次の通りです。

  • 完治するまでの期間が分からない(一般的に6か月から3年で個人差がある)
  • いぼの数が増えてから外科切除に移行すると治療が大変になる
  • 治癒するまでに周囲への感染リスクがある
  • 他の皮膚疾患への治療に影響する場合がある

外科的に切除する

外科切除のメリットは次の通りです。

  • 適切に切除すれば確実に治癒できる
  • 個数が少ないうちに切除できれば苦痛が少なくて済む
  • 早急に対応できれば兄弟姉妹やお友達に感染させずに済む

外科切除のデメリットは次の通りです。

  • 痛みを伴う
  • いぼの数が多くなると、切除の痛みでお子さまが治療を拒否するようになる

あらかじめ局所麻酔入りのクリームやテープを患部に貼っておくことで、外科切除の痛みを軽減することができます。
ただし、外科切除への恐怖心の強いお子さまに対しては、効果が期待できません。

  • 治療前に「1回に10個ずつ切除する」と約束して根気よく通院する
  • 外科切除の必要性を説明し理解してもらう

など工夫しながらご両親もお子さまと一緒に頑張る姿勢を見せてあげましょう。

水いぼの予防策

水いぼを予防するためには、皮膚の保湿が重要です。
皮膚の乾燥により皮膚のバリア機能が低下し、水いぼに感染しやすくなります。
また、プールに含まれる塩素によって皮膚がダメージを受けバリア機能が低下します。

兄弟姉妹が水いぼに感染したときには、別々に入浴したり、タオルを使い分けたりしましょう。
皮膚と皮膚が接触しないよう配慮することで水いぼの感染拡大を防止できます。
プール後の保湿も欠かさずに行いましょう。

水いぼに特に注意が必要なお子さま

水いぼに注意が必要なのはアトピー性皮膚炎のお子さまです。
アトピー性皮膚炎のお子さまは皮膚のバリア機能が低下しているため、水いぼに感染しやすくなっています。
治療に使用されるステロイドが正常な皮膚の抵抗力を低下させてしまうため、水いぼを悪化させてしまうのです。
そのため、水いぼのお子さまにステロイドを塗布することはできません。
つまり、アトピー性皮膚炎のお子さまが水いぼに感染してしまうと、アトピー性皮膚炎に対してステロイドを用いた治療できなくなります。

水いぼのお子さまのプール活動について

水いぼはプールの水を介して感染することはありません
そのため、水いぼを理由にプールを休ませる必要はありません。
ただし、タオルや浮き輪、ビート版を介して他のお子さまに感染することがあるため、これらの共用は避けるべきです。
トラブルを避けるためにも、あらかじめ学校の先生に相談しておきましょう。

水いぼ(伝染性軟属腫)に関するまとめ

この記事では次のことを解説しました。

  • 水いぼの原因と特徴
  • 水いぼの感染経路
  • 水いぼの治療
  • 水いぼの予防策
  • 水いぼに特に注意が必要なお子さま
  • 水いぼのお子さまのプール活動について

水いぼは皮膚と皮膚との接触によって起こる感染症です。
皮膚のバリア機能が未熟なお子さま(7歳以下が多い)によく見られます。

治療方法としては次の通りです。

  • 自然治癒を待つ
  • 外科切除する

ともにメリット・デメリットがあるため、ご両親やお子さま、医師と相談して治療法を決定しましょう。

予防策としては、皮膚の保湿が最も重要です。
プール後に皮膚のバリア機能が低下するため、日頃からしっかりと保湿してあげましょう。

アトピー性皮膚炎のお子さまが水いぼに感染してしまうと、アトピー性皮膚炎に対してステロイドを用いた治療できなくなり、特に注意が必要です。

水いぼはプールの水を介して感染することはないため、水いぼを理由にプールを休ませる必要はありません
ただし、タオルや浮き輪、ビート版を介して感染拡大することがあるため、これらの共用は避けましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

【お願い】
「こころみ医学の内容」や「病状のご相談」等に関しましては、クリニックへのお電話によるお問合せは承っておりません。

診察をご希望の方は、受診される前のお願いをお読みください。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。

クリニック一覧

医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(医療経験を問わない総合職)も随時募集しています。

(医)こころみ採用HP

取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。

カテゴリー:通年の子供の病気  投稿日:2024-09-21

\ この記事をシェアする /

TWITTER FACEBOOK はてな POCKET LINE

関連記事

小児喘息の治療

小児喘息の治療は主に吸入薬!治療のステップや症状を和らげる方法3つ 「小児喘息をよくするにはどうしたらいいの?」「小児喘息にはどんな治療があるの?」 このような疑問を持っていませんか? 小児喘息は正しい治療をおこなうこと… 続きを読む 小児喘息の治療

カテゴリー:通年の子供の病気  投稿日:

小児喘息

小児喘息の症状と治療法 気管支喘息とは ぜん息とは、呼吸をするときに空気が通る道(気道)が狭くなり、呼吸困難をきたす病気です。何らかの刺激が加わると、炎症をおこしている気道粘膜が敏感に反応し、ぜん息症状を引き起こします。… 続きを読む 小児喘息

カテゴリー:通年の子供の病気  投稿日:

小児の中耳炎

子供の中耳炎とは?治療と予防 目次 中耳炎とは 中耳炎になったらどうしたらいい? 中耳炎の予防 まとめ 中耳炎とは 鼻やのどから病原体が侵入し、耳管を通して中耳で感染をおこすものを中耳炎といいます。 子供の耳管は短くて太… 続きを読む 小児の中耳炎

カテゴリー:通年の子供の病気  投稿日:

人気記事

【医師が解説】喘息の長期管理薬(吸入ステロイド)の効果と副作用

喘息の長期管理薬とは? 喘息は、気道に慢性炎症が起きて狭くなっている状態です。それが引き金となって気道が過敏になり、ちょっとしたきっかけで咳や息苦しさをくり返します。 喘息の治療は、 炎症を抑え、喘息の悪化や発作を予防す… 続きを読む 【医師が解説】喘息の長期管理薬(吸入ステロイド)の効果と副作用

カテゴリー:喘息の長期管理薬(吸入ステロイド)  投稿日:

急性扁桃炎

急性扁桃炎の症状、治療法は?何日で治るかについても医師が解説 目次 扁桃炎とは 原因と種類 症状 診断方法 治療 回復期間:何日くらいで治るのか? 予防策 まとめ 扁桃炎とは 扁桃腺は、口と喉の間に位置し、体内に侵入する… 続きを読む 急性扁桃炎

カテゴリー:喉の病気  投稿日:

SGLT2阻害薬の効果と副作用

SGLT2阻害薬とは? SGLT2(エスジーエルティー・ツー)阻害薬は糖尿病の治療ガイドラインで定められている治療薬のひとつで、膵臓ではなく腎臓に作用することで血糖値を改善する働きがあります。 SGLT2は腎臓に存在する… 続きを読む SGLT2阻害薬の効果と副作用

カテゴリー:糖尿病治療薬  投稿日: