生理が来ない、生理が不規則で困っている方へ(続発性無月経、月経不順)
「生理不順で次にいつ生理が来るのかわからないな。」
「そういえば3ヶ月くらい生理が来ていないな。」
生理に関するこのような症状でお困りではありませんか?
生理が来なければ楽ちん!かもしれませんが、放置しておくと重大な事態に発展するかもしれません。
生理が予定通りに来ない、いつも周期がバラバラというような生理のトラブルには、その裏に病気が隠れていることがあります。
また生理の周期を整える方法があります。
この記事では、続発性無月経、月経不順について説明します。
原因
続発性無月経とは、これまであった月経が3ヶ月以上停止していることを言います。
生理が来なくなる主な原因としては、次のようなものがあります。
- 妊娠
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS);こちらの記事をご参照ください。
- 早発卵巣不全;10〜30歳代において卵巣の機能が低下している状態を指します。
- ダイエットによる体重の急激な変化、激しい運動、ストレス
- 高プロラクチン血症;プロラクチンという乳汁を分泌するホルモンが上昇することにより月経が来なくなります。
- 薬剤性;精神科や消化器科で処方される薬剤の中には、高プロラクチン血症を引き起こすものがあります。
- アッシャーマン症候群;流産・中絶手術・子宮鏡手術などの子宮内操作や子宮内感染が原因で、子宮の内腔がくっついてしまいます。
症状
これまであった月経が来なくなってしまいます。
出血があったとしても量が極端に少ないなど、いつもの生理と異なる場合も病院に相談することをおすすめします。
診断
性行為があり妊娠の可能性がある場合には、まず妊娠反応検査を行います。(病院受診前にご自身で妊娠反応検査をしていただいても構いません。検査をした場合には、結果と検査をした日付を担当医師にお伝えください。)
妊娠が否定的である場合には、以下のような検査を行います。
- 経腟超音波検査;子宮や卵巣に異常所見があるかどうかを確認します。何らかの所見がある場合には、精密検査として必要に応じて骨盤MRI検査を行います。
- 血液検査;エストロゲン、FSHを測定し、卵巣機能を評価します。
エストロゲンは、卵巣から分泌される女性ホルモンです。
下垂体から分泌されるFSHは、卵巣に働け!と指令を出すホルモンで、卵巣の働きが低下すると、FSHは上昇します。
よって卵巣の機能が低下している場合には、エストロゲンは低値、FSHは高値になります。
プロラクチンを測定し、異常にプロラクチンが上昇していないかどうかを判定します。
甲状腺機能異常が無月経の原因となることがありますので、甲状腺ホルモンの測定も行います。
男性ホルモンであるアンドロゲンの測定も行います。
PCOSの患者さんではアンドロゲン高値であることが多いです。
治療
原因が判明した場合にはその疾患の治療を行います。
原因と考えられる薬剤があれば、その薬剤を中止します。
体重減少による無月経と考えられる場合には、月経を起こすことよりもまずは体重を戻していくことを優先します。
過度のストレスや激しい運動など生活習慣が原因となっている場合には、環境の整備(睡眠、食事、禁煙など)を行います。
妊娠を望んでいない場合には、月経周期を正常にすることを目指します。
ホルムストローム療法(黄体ホルモン投与)もしくはカウフマン療法(エストロゲン+黄体ホルモン投与)を行い、周期的に月経が来るようにします。
月経時の腹痛が強い方には、超低用量ピルを内服していただくこともあります。
直近の妊娠を計画している場合には、排卵誘発を行います。
クロミフェンを月経5日目から5日間内服します。
漢方薬
人間関係や情報過多によりストレスが溜まってイライラしてしまい、月経に悪影響を及ぼすことがあります。
生活環境を整えるとともに、漢方薬を内服し気持ちを落ち着けることを目指します。
患者さんそれぞれの体質に合わせて漢方薬を処方します。
まとめ
子宮内膜は、毎月月経によってリセットされています。
このリセットがうまく起こらないと子宮体がんになるリスクが高まり危険です。
生理が来ないと楽かもしれませんが、放置しておくと背景に隠れている病気を放置することになります。
ホルモン剤を使用することによって、月経を規則的にすることが可能です。
月経周期が整うことで、日常生活もより快適になるかと思います。
無月経・月経不順は放置せず、早めに婦人科を受診しましょう。
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カテゴリー:よくある婦人科の症状 投稿日:2025-05-28
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