子宮頸部異形成の原因・症状・診断・治療
子宮頸部異形成とは?
子宮頸がんは子宮の出入り口である、子宮頸部にできるがんです。
子宮頸がんはヒトパピローマウイルスというウイルスが原因でなりますが、急に進行した状態になる病気ではありません。
子宮頸部異形成という、がんの手前の状態が数年続いたのちにがんになってしまいます。
がんになるまで数年かかるため、1〜2年に1度の検診を受けていれば、異形成の状態で発見できます。
異形成であれば子宮を全摘する必要はありませんし、命に関わることにはなりません。
ここでは子宮頸部異形成や子宮頸癌検診についてお話しします。
原因
子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)です。性交渉によって感染します。性行為の経験がある女性のほとんどが感染したことがあります。ほとんどの女性ではご自身の免疫によってウイルスは排除されます。ごく一部の方において持続感染してしまい、数年〜数十年かかって異形成から子宮頸がんへと病気が進行します。
ヒトパピローマウイルスには数100種類あり、それぞれ番号がついています。すべての種類でがんを引き起こすわけではなく、がんの原因となるのは15種類程度といわれています。これらのウイルスのことをハイリスクHPVと呼びます。ハイリスクHPVに感染しているかどうかの検査は簡単にできます。
※ハイリスク型のHPVは16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68型ですが特に16型、18型においてがんの危険性が高いと言われています。
※ローリスク型のHPV(HPV6,11,41,42,43,44型)は尖圭コンジローマと関連があります。(別記事でコンジローマについて記載予定です。)
※ごくまれにHPVが関与していない子宮頸がんもあります。HPV非依存性の子宮頸がんは悪性度が高く予後が悪いと言われています。
症状
子宮頸部異形成では症状が出ることはめったにありません。不正性器出血がみられることがありますが、出血みられたときにはがんまで進んでしまっていることが多いです。
よって自覚症状だけでは早期発見することはできません。症状がなくても子宮頸癌検診を受けることが大切です。
診断
子宮頸部をブラシで擦って細胞を取り、その細胞を顕微鏡でみて診断します。検査の時には腟の中にクスコという器械を挿入して、子宮頸部を直接目でみて擦ります。器械を挿入する際に痛みが出ることがありますが、検査は30秒程度で終わりますので、力を抜いてリラックスして検査を受けて頂きたいです。
ブラシで擦るので、少し出血することがありますが、心配は要りません。数日で出血は治まります。
検査の結果は2週間程度で判明します。ベセスダ分類という世界的に用いられている基準に基づいて結果が返ってきます。結果はアルファベットで記載されています。結果の見方については担当医師に聞いてください。
細胞診で異常がある場合には、組織を取る検査を行います。コルポスコピーという拡大鏡で子宮頸部を観察します。そして病変がありそうな箇所を数か所ほど、組織を切り取って検査に出します。その検査の結果、子宮頸部異形成があるかどうかや異形成の程度がわかります。
治療
子宮頸部異形成は3種類に分かれています。軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成・上皮内がん(CIN3)であり、数字が大きくなるほど病気は進んでいます。
CIN1・CIN2であれば正常病変に戻る可能性が高いのでまずは経過観察を行います。数カ月に1回、細胞の検査を行って病変の増悪がないかどうかを注意深く見ていきます。ハイリスクHPVの検査を行って、感染の有無や型番号によってCIN3に進行する可能性が高いかどうかを判断することもあります。
CIN3では、がんに進行してしまう可能性が高いので治療適応となります。円錐切除術といって、子宮頸部を円錐状に切り取る手術を行います。円錐切除術は経腟的にできる手術であり、お腹を開ける必要はないため手術の侵襲は大きくありません。一般的には2-3日の入院で行うことができます。
子宮頸がんと診断された場合には、子宮や卵巣卵管を全摘出する手術が必要となることが多く、子宮を残すことが難しくなります。また進行度合いによっては命に関わることがあります。
まとめ
子宮頸がんはがんになるまで時間がかかります。子宮頸がんの手前の状態を異形成と言います。
異形成の状態で発見できると、子宮を全摘する必要はなく術後に妊娠することも可能です。
がんになるまで時間がかかるので、1-2年に1回の検診を受けることによって早期に発見することができます。
欧米では子宮頸癌検診の受診率は80%程度ですが、日本では40%程度と言われています。検診を受けている女性はまだまだ少ないです。
ご自分の命や子宮を守るためにぜひ子宮頸癌検診を受けていただくようお願い致します。
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カテゴリー:子宮がん 投稿日:2024-05-30
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