尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマの原因・症状・診断・治療

尖圭コンジローマとはとは?

ヒトパピローマウイルス(HPV)には性行為によって感染します。HPVは200タイプ以上にわかれており、それぞれに数字がついています。

HPVはハイリスク型とローリスク型に分類されます。ハイリスク型のHPVに感染すると、子宮頸がんや、がんの手前の状態である、子宮頸部異形成を引き起こします。

一方、ローリスク型HPVに感染してもがんになることはまれです。ローリスク型のHPVは、外陰部・肛門周囲や腟、子宮頸部にイボを形成します。このイボを尖圭コンジローマと呼んでいます。

イボができても、痛みやかゆみなどの自覚症状を感じることはまれです。しかし、イボは自然には治りづらく再発することも多いです。自分や他人から見ることができる場所にできるので、整容面において悩まされることになります。

早めに検査を受け、適切な治療を受けることで治すことができます。

HPVワクチンを接種することで、原因となるローリスク型のHPV感染を防ぐことが可能です。

本日は尖圭コンジローマについてお話しします。

原因

性行為によってHPVに感染します。性行為の経験がある女性の半数以上でHPVに感染していると言われています。

HPVは200種類以上のタイプに分類されており、それぞれに数字がついています。がんを引き起こしやすいハイリスク型と、イボを形成しやすいローリスク型にわかれます。

ローリスク型のHPVに感染すると約3か月の潜伏期を経て、感染部位にイボを形成します。イボのことを尖圭コンジローマと呼んでいます。

☆ローリスク型のHPVの代表的な型は、6、11型です。9価ワクチンを接種することによってハイリスク型(16/18/31/33/45/52/58型)、ローリスク型(6/11型)の感染を防ぐことができます。

症状

外性器周囲にカリフラワー状の小さなイボが多発します。大小陰唇、会陰、腟、子宮頸部、肛門、尿道に発生します。

一般的には自覚症状はありません。イボの大きさや部位によっては痛み、かゆみ、出血がみられます。

目に見える部位にイボがたくさんできるため、整容面において大きな問題となります。

分娩時にコンジローマが出来ている状態だと、産道を介して赤ちゃんにも感染してしまいます。赤ちゃんの気道粘膜に乳頭腫が多発し、嗄声や呼吸不全を起こします。

診断

内診台に上がって頂き、病変部位を観察します。イボを切除して、病理診断に提出し尖圭コンジローマの確定診断をつけます。

他の原因によっても外陰部にイボができることがあります。必要に応じて追加で検査を提出し、鑑別診断を行います

治療

まずは、イミキモドクリームをイボに塗って治療を行います。1日に1回、週3回、イボにクリームを塗ります。就寝前に塗布し、朝起きたら石鹸とお湯で洗い流します。きちんと洗い流さないと、塗った場所やその周囲の皮膚が赤くなったりただれたりしてしまいます。粘膜の病変に使用することはできないため、腟内の粘膜や尿道周囲には塗布することはできません。8〜16週間治療を行います。

クリームを使用しても病変が残っている場合やクリームを使用できない部位には、外科的な処置を行います。メスやハサミを用いて切除したり、液体窒素で凍結させたりします。

※妊娠している方にはイミキモドクリームは慎重投与となっています。外科的な治療がメインとなります。妊娠の有無は必ずスタッフにお伝えください。

まとめ

HPVが原因となって尖圭コンジローマは発症します。HPVはありふれたウイルスであり、性行為の経験があれば感染していることが多いです。ワクチンを接種することでHPV感染を防ぐことが可能です。

尖圭コンジローマを発症すると、陰部にイボがたくさんできます。痛みやかゆみは出にくいですが、目に見える部位に病変ができるため、大きなストレスとなってしまいます。

コンジローマはイミキモドクリームを自分で塗ることによって治すことが可能ですが、治るまでには時間がかかります。また再発してしまうことが多いです。このため根気よく治療を続ける必要があります。

外陰部にイボができる病気は他にもあります。気になる症状があれば、気軽に婦人科で相談していただきたいと思っています。

参考文献

  • 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023
  • 性感染症 診断・治療ガイドライン2020

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カテゴリー:性感染症  投稿日:2024-05-30

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