子供のかぜは受診すべき!?治療と対策
かぜになると病院を受診した方がいいの?
かぜは一般的に時間の経過とともに治るもので、必ずしも病院を受診する必要はありません。
中耳炎になりやすい人は、早めに耳鼻科を受診すると適切な治療が受けられます。
かぜの予後は良好とされていますが、子供は体内水分量が多く、脱水になりやすいため注意が必要です。
また、かぜの初期症状と似ている病気として川崎病、白血病など別の病気も挙げられます。お子さんの状態をよく観察して受診するかの判断をしてください。
受診の目安
顔色が悪い、ぐったりして意識がはっきりしない、けいれんなどは緊急受診が必要な場合もあります。
以下の症状は早めの受診を検討してください。
- 生後3カ月未満の発熱や熱が4日以上続くもの
- 呼吸が苦しそうで顔色も悪い
- 咳や嘔吐などの症状が悪化する
- 水分や食事が摂れない(赤ちゃんの場合は母乳やミルクを飲まない)
- おしっこの回数が少ない、量が少ない
- いつもと違い、何か変に感じる(機嫌が悪い、泣き方が違うなど)
子供は、母親の胎内で病原体に対抗する免疫(抗体)をもらって生まれてきます。免疫で守られているはずの生後3カ月以内の赤ちゃんが発熱する場合は、何らかの重篤な感染症である可能性があります。
なお、体温調整が不十分な子供は衣服や室温の影響を受けやすく、発熱だけで重症とは言えませんが、受診をして診断を受けましょう。
また、症状が悪化する場合は肺炎や髄膜炎などの合併症も考えられ、適切な治療が必要になります。
子供の様子がいつもと違って何かおかしいといった保護者の気づきも重要となり、速やかな受診が望ましい場合があります。
かぜについて
かぜは正式名称を「かぜ症候群」といい、鼻腔・咽頭・喉頭の上気道に炎症がおこるものです。
一方で、おなかの風邪と言われる場合があります。これは炎症が胃腸におこる「感染性胃腸炎」で、原因となる代表的なウイルスは、ロタウイルスやノロウイルスなどです。
かぜの原因
かぜになる原因は8割以上がウイルスで、何百種類もあると言われています。ライノウイルス、RSウイルスや夏に流行するエンテロウイルスやアデノウイルスなどが挙げられます。
また、ウイルス以外の原因は細菌やマイコプラズマ、クラミジアなどです。
かぜの症状
上気道に炎症がおこるために次のような症状が出ます。
- くしゃみ・鼻水・鼻づまり
- のどの痛み
- 咳や痰
- 発熱・頭痛・全身倦怠感など
また、リンパ節が腫れるため、首のしこりや痛みに気づくことがあります。これは、全身にあるリンパ節が外敵から身を守る働きを持ち、細菌やウイルスに対して反応をするためです。かぜの場合は心配がいりませんが、しこりが固くて痛みがない場合などは他の病気に注意する必要があります。
免疫機能が弱い子供は何度もかぜをひく
私たちは病原体から体を守る「自然免疫」と「獲得免疫」という2種類の働きを持ちます。
- 自然免疫:生まれながらに持っている第1の防御システム
- 獲得免疫:自然免疫から受け取った情報により、病原体に対応するのが第2の防御システム。一度出会った病原体を記憶するため、再び侵入した時には素早く対応できる。予防接種はこの特徴を利用したもの。
生まれたばかりの子供は母親の免疫機能をもらっていますが、生後6カ月ごろより徐々に弱まるため、自分で免疫を獲得する必要があります。
保育園などの集団生活で多くの病原体と接触すると、病気になる回数も増えます。毎週のように体調を崩す子供を見ていると、看病をする保護者にとってもつらいものです。しかし、徐々に免疫を獲得し小学生になるころにはかぜにかかる回数も減っていきます。
かぜを悪化させないためのケア
かぜの症状を悪化させないケアを行いましょう。
水分と栄養補給
水分をこまめに摂取することで脱水を予防できます。麦茶や湯冷まし、経口補水液などを少しずつ頻回に飲ませます。子供は咳込むことで嘔吐しやすいので、様子を見ながら水分補給をしてください。
食事は消化のよいものを選びましょう。月齢が低いお子さんの場合は、野菜を煮込んだ煮汁を飲ませる、煮込んだ野菜をつぶして食べさせる方法もあります。
エネルギーの源となるたんぱく質である肉は、胃腸に負担になる可能性があり注意が必要です。
おすすめの食品
- ねぎ:体を温め、代謝をよくする
- 人参や大根:ビタミンが豊富
- たんぱく質:豆腐や白身魚、卵など(溶き卵にすると便利)
避けた方がよい食事
- 食物繊維の多い根菜類の野菜(ごぼうなど)
- のどに刺激の強いもの(みかんやレモンなど)
お子さんに十分な栄養を摂取させたいですが、看病をする保護者も疲れないようにプリンやゼリーなど手軽なものを使用してもよいでしょう。
はちみつには抗炎症作用があり、咳に有効とされる研究報告もありますが、科学的に確認されていない部分もあります。はちみつの成分に鎮咳効果があるという報告もあり、今後の動向が注目されます。なお、乳児ボツリヌス症にかかるおそれがあり、1歳未満の赤ちゃんは、はちみつを食べてはいけません。
睡眠
入眠中には成長ホルモンが分泌され、細胞の修復や再生に働くとされています。睡眠により、余計な体力の消耗がおさえられ、体のもつ免疫力が発揮されます。
療養環境を整える
加湿器などを使用して湿度を保つと、鼻やのどの粘膜が保湿されて症状がやわらぎ、ウイルスの拡散防止にもつながります。新鮮な空気を取り入れるため換気を忘れないようにしてください。
衣類の調整も必要で、子供の手足に触れて冷たいと感じたら室温を上げ、かけものを増やします。手足が温かい、汗が多いときは服を脱がせるなど調整をします。
入浴は可能ですが、体力を消耗するため状況をみながら判断しましょう。
かぜの治療
かぜに特効薬はなく、鼻水や咳、のどの痛みなど症状をやわらげる対症療法が中心です。
ウイルスに無効な抗生物質を使用すると薬が効かなくなる耐性菌ができてしまいます。
かぜの時に抗生物質が処方されるのは、医師の診断により細菌感染の疑いがある場合です。
かぜに負けない体づくり
日常生活で工夫をするとかぜにかかりにくい体づくりができます。
腸内環境を整える
免疫細胞は腸内に多いことがわかっています。免疫力を高める善玉菌や善玉菌のエサになる食品を摂取しましょう。
- 善玉菌を多く含む食品 ヨーグルト、納豆やみそなどの発酵食品
- 善玉菌のエサになる食品 食物繊維を多く含む野菜、果物、オリゴ糖など
よく噛んで食べて眠る
よく噛んで食べると、唾液中のIgA(免疫グロブリン)分泌が促進されます。唾液は胃の消化機能を助けるだけでなく、病原体から体を守ってくれる働きがあると注目されています。
また、睡眠時間が短い人は、かぜにかかる確率が高いという調査結果もあり、ゆっくり噛んで食べ、十分な休養が取れるように心がけたいものです。
外遊びをしよう
土や植物の自然にある細菌に触れると免疫の獲得につながり、日光(紫外線)を浴びると体内でビタミンDが作られます。
ビタミンDは、免疫機能をサポートするだけでなく、骨の健康にも役立ちます。
まとめ
かぜの時には、必ずしも病院を受診する必要はありませんが、お子さんの状態によって受診をするか判断をしましょう。
かぜの治療は症状をやわらげる治療が中心になるため、水分摂取や食事、十分な睡眠などのケアが大切になります。
免疫機能が弱い子供はかぜをひきやすいため、普段の生活で免疫力を高めるような工夫を取り入れてください。
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カテゴリー:よくある子供の症状 投稿日:2024-05-30
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