乗り物酔い

乗り物酔いしやすい人の特徴と治し方

乗り物酔いとは

動揺病と呼ばれ、乗り物の動きによって発症する病気の一つです。

乗り物酔いの症状は次の通りです。

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 冷や汗
  • 顔面蒼白

乗り物酔いを発症してしまうと、お出かけや遠足を充分に楽しむことができなくなります。

一度発症してしまうと、次にお出かけするときに「また乗り物酔いになってしまうかも・・・」とお子さんを不安にさせてしまいます。

乗り物酔いになる原因や治し方、対処方法を知っておくことで、お子さんの苦しみを軽減することができます。

乗り物酔いが起こりやすい年齢や性別

乗り物酔いが起こりやすいのは、3~20歳のお子さんです。

3歳未満であれば、乗り物酔いに関係する前庭小脳が発達していないため、乗り物酔いが起こりません。

20歳以降では、前庭小脳が老化していくため、酔いにくくなると言われています。

また統計的には、女の子の方が男の子よりも乗り物酔いになりやすいです。

乗り物酔いになる原因

乗り物酔いを発症するメカニズム

明確には結論づけられていませんが、乗り物酔いのメカニズムとして、感覚混乱説が有力です。

人は次の情報をもとに周囲との位置関係を把握し平衡を保っています。

  • 内耳(耳の中)の三半規管と耳石器官からの聴覚情報
  • 目からの視覚情報
  • 筋肉や皮膚などからの感覚情報

人は経験とともに様々な情報に対して「学習」していきます。

しかし、乗り物の動きにより「学習」の範疇を超えてしまうと、情報を上手く処理できなくなります。

これによって感覚に混乱が生じることで発症するのが乗り物酔いです。

成長するにつれて「学習」し感覚の乱れに対応できるようになるため、症状が出にくくなる特徴もあります。

乗り物酔いになる要因

乗り物酔いになりやすくなる要因は次の通りです。

  • お子様の不安な気持ち
  • 体調不良
  • 睡眠不足
  • 満腹(あるいは、空腹)
  • 生活習慣の乱れ
  • 乗り物に不慣れなこと

乗り物酔いを防ぐ方法と治し方

乗り物酔いにならないための対策

お子さんが乗り物酔いを発症しないための対策は次の通りです。

  • 「自分は酔わない」と暗示をかける
  • お出かけの前日は充分な睡眠をとらせる
  • 乗り物の進行方向を見せる(難しい場合には、なるべく遠くの景色を見せる)
  • 乗り物の中で読書やゲームを控えさせる
  • お子さんが好きな音楽を聴かせてリラックスさせる
  • 乗り物へ臭いが強い芳香剤を置かない
  • (バスの場合)進行方向が見えるように前の座席に座る
  • 腹部を圧迫する洋服を控える
  • 乗り物酔いに効く市販薬を飲ませる

乗り物酔いはお子さんの不安な気持ちによって発症することもあります。

お子さんを不安にさせないように、声をかけてあげたり、リラックスをさせてあげたりする工夫も必要です。

乗り物酔いは乗り物の動きに対する「学習」がないために発症することがあります。

揺れに慣れるために、ブランコやシーソーで揺れを「学習」させておくことも有効です。

また、乗り物酔いを発症しやすいお子さんと遠出をする際には、乗り物酔いになってしまった場合に備えて、ビニール袋を準備しておくと安心です。

乗り物酔いになったときの対処法

注意していても乗り物酔いになってしまった場合には次の方法が有効です。

  • 外の新鮮な空気を吸わせる
  • シートを倒して楽な体勢にさせる
  • (可能であれば)乗り物から降ろす
  • 席を前にしてあげる
  • 乗り物酔いに効く市販薬を飲ませる

また、やさしい言葉をかけてあげたり、背中をさすってあげたりすることで、お子さんの気持ちを和らげることができます。

乗り物酔いのための薬

乗り物酔いの防止や症状の緩和には薬の服用が有効です。

病院ではお子さんへの乗り物酔いのお薬は処方していません。

そのため、薬局で乗り物酔いの市販薬を購入することが必要です。

薬局には、3歳から服用できる薬があります。

ただし、乗り物酔いの薬を服用することで眠たくなってしまうことがあります。

どのお薬がお子さんに適しているかは薬局で薬剤師さんに相談しましょう。

乗り物酔いに関するまとめ

乗り物酔いは動揺病と呼ばれ、乗り物の動きによって発症する病気の一つです。

乗り物酔いを発症すると、吐き気や嘔吐、冷や汗、顔面蒼白の症状が出現します。

乗り物酔いになりやすくなる要因は次の通りです。

  • お子様の不安な気持ち
  • 体調不良
  • 睡眠不足
  • 満腹(あるいは、空腹)
  • 生活習慣の乱れ
  • 乗り物に不慣れなこと

乗り物酔いを発症しないための方法を実践することで、乗り物酔いを防ぐことができます。

また、乗り物酔いは心理的な不安感からも発症するため、お子さんの不安を和らげてあげることも有効です。

乗り物酔いになってしまった場合には、

  • 外の新鮮な空気を吸わせる
  • シートを倒して楽な体勢にさせる
  • (可能であれば)乗り物から降ろす
  • 席を前にしてあげる
  • 乗り物酔いの市販薬を飲ませる

などの方法で症状を軽減することができます。

市販薬を購入する際には、薬局で薬剤師さんへ相談しましょう。

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カテゴリー:特殊な子供の病気  投稿日:2024-05-30

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