妊娠初期

もしかして妊娠したかもしれない!? というとき、まず知っておきたいこと

月経(生理)が予定通り来ない場合や、アフターピルを内服したのに出血が起こらない場合には、妊娠している可能性が高くなります。
このような時には、まずご自身で妊娠検査薬を試してみてください。
陽性が出た場合は妊娠されています。通常の子宮内の妊娠であることがほとんどですが、まれに子宮以外の場所で妊娠していることや、進行流産、胞状奇胎など異常な妊娠であることもありえます。
異常妊娠である場合は、放置することで急激な腹痛に襲われたり大量出血したりすることがあり、場合によっては命の危険にさらされることもあります。
妊娠かもしれないというときには早めに婦人科で相談することをおすすめします。
この記事では、妊娠初期に起こりうることについて解説していきます。

妊娠検査薬を使った確認方法

月経が予定よりも遅れている場合は、妊娠の可能性を確認するために妊娠検査薬を使用することが有用です。
妊娠すると、胎盤からヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンが分泌されます。
妊娠検査薬は、尿中に存在するhCGを検出することで、妊娠の有無を判断します。

※妊娠週数の数え方
最後の生理が始まった日を0週0日として、7日経過するたびに1週ずつ増えていきます。
妊娠40週0日が出産予定日です。

  • 妊娠検査薬は、月経予定日から1週間後以降、つまり妊娠5週以降に使用するのが最適です。それ以前に使用すると、尿中hCGの濃度が低く、妊娠していても陽性と出ないことがあります。
  • 使用方法: 検査薬の説明書に従って検査してください。尿を検査薬にかけて数分待ちます。結果は、2本のラインで表示されます。1本はコントロールライン、もう1本は判定ラインです。判定ラインが現れれば妊娠反応陽性です。

結果は陰性だったが妊娠の可能性が考えられる場合には、1週間ごとに検査を行うようにしてください。
妊娠反応が陰性でも2カ月以上月経が来ない場合には、婦人科受診をおすすめします。

産婦人科ではどのような検査をするのか?

問診

最後の月経が始まった日から妊娠週数を計算します。
最終月経開始日はわかるようにしておいてください。
今までに罹ったことがある病気やアレルギーの有無、妊娠・出産したことがあるかなど必要な情報をお聞きします。

妊娠検査薬

ご自身で検査薬を使用していない場合や、最終の検査から日にちが経っているときなどには、必要に応じて当院でも妊娠検査薬での検査を行います。
検査は自費です。

経腟超音波検査

腟内に検査器具を挿入して、子宮や卵巣を観察します。
子宮内に胎嚢(たいのう;赤ちゃんのふくろ)が見えるかどうか、卵巣が腫れているかどうか、
子宮の外に胎嚢が見えるかどうか、お腹の中に出血や腹水の貯留がないかなどをチェックします。(検査前に排尿を済ませておいてください)

妊娠週数と超音波検査での見え方

妊娠4週頃

子宮内膜が分厚くなっていることが確認されます。
内膜は白く映ります。
胎嚢はまだ見えません。

妊娠5週頃

白い子宮内膜を背景として、黒い丸いものが見えてきます。
円形で黒い像が、胎嚢であり赤ちゃんのふくろです。
黒の周りを白く縁どられていると胎嚢である可能性が高くなります。
この時期には胎嚢は小さく、出血や嚢胞と区別がつきにくいです。
このため子宮内に妊娠していると言い切れない場合もよくあります。
流産や異所性妊娠(子宮以外の場所で妊娠している)の可能性を否定できません。
1週ほど間をあけて再度超音波検査を行い、判断していきます。

妊娠6週頃

胎嚢の中に、白い丸が見えてきます。
これは卵黄嚢(らんおうのう)です。卵黄嚢は赤ちゃんに栄養をあげている器官です。
胎嚢の中に卵黄嚢が見えると、妊娠していると確定することができます。

妊娠7週頃

卵黄嚢の傍に、白く小さな赤ちゃんが見えてきます。
このころには心拍を確認することができます。

妊娠8-10週頃

赤ちゃんがだんだんと成長していきます。
頭や胴体の区別がつくようになっていきます。
お尻から頭までの長さ(頭殿長;CRL)を測定します。
最終月経から計算した妊娠週数と、赤ちゃんの大きさから推定される妊娠週数にズレが見られることはよくあります。
赤ちゃんの大きさの方が正確ですので、CRLによる補正を行い、分娩予定日が決まります
予定日が決定したら、保健センターに行って母子手帳をもらいましょう。
母子手帳をもらったら妊婦健診が始まります。
出産しないという場合には、母体の負担を減らすため、早めに中絶手術を受けることをおすすめします。

まとめ

妊娠の可能性がある場合には、まずは妊娠検査薬で確認しましょう。
陽性判定が出た場合には婦人科を受診することが大切です。
陰性である場合においても、数か月以上生理が来ないときは放置せず、婦人科にお越しください。
生理が来ない、妊娠しているかもという時には不安な気持ちが大きくなるかと思います。
婦人科の専門医に相談することで、適切なサポートを受けることができます。
妊娠や生理に関するどんな疑問や不安にも、しっかりとお答えします。
気軽にご相談いただければ幸いです。

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カテゴリー:よくある婦人科の症状  投稿日:2025-05-16

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