糖尿病こころみ医学

糖尿病で初めての受診 ~医療費や検査・治療の流れについて~

はじめに

  • 「最近気になる症状があるのだけど、糖尿病なのかもしれない・・・ 受診しようと思うけど、最初の受診でいくらくらいお金がかかるんだろう?」
  • 「健診結果で糖尿病が指摘されたけど、これからどうすればいいの?」
  • 「糖尿病ってよく聞くけど、糖尿病になったらどんな検査や治療をするの?どれくらいのペースで通院しないといけないのかな?」
  • 「最初に検査してから何回も採血してるけど、糖尿病じゃないのかな?」

「糖尿病」という病名はよく耳にしますが、いざ自分がそうかもしれないとなると様々な不安や疑問を持つ方もおられると思います。

今回は糖尿病を心配して初めて病院を受診した際に、いくら費用がかかるのか、糖尿病と診断された後の治療の内容、通院のペースなどについてお話しようと思います。

糖尿病は早期発見・早期治療が重要になってきます。

早期発見するためにも、不安や疑問を解消して早く病院を受診しましょう!!

結論を知りたい方へ

結論から述べますと、

  • 初診時に必要な費用は、最低限の血液検査・尿検査を行った場合で自己負担額は1500~2000円前後となります(3割負担での金額)
  • 糖尿病が進行していて詳細に検査する場合や、糖尿病以外に隠れた生活習慣病が疑われる場合は、エコー・心電図・眼底検査などが行われます。その場合は追加で1500~2000円の医療費がかかります(3割負担での金額)
  • 糖尿病が進行しインスリン注射を用いた治療が行われている場合は、毎月の自己負担額が10000円~15000円(3割負担での金額)と高額になります。
  • 糖尿病の診断は1回の血液検査では診断がつかないこともあり、時期を空けて何度か検査することもあります。
  • 糖尿病の治療は、基本的には生活習慣を見直し、食事療法や運動療法を行うことから始まります。適切な食事療法や運動療法を続けても血糖コントロールが十分に行えない場合に、内服薬やインスリン注射などの薬物療法が行われます。
  • 治療開始後の通院ペースとしては、血液検査や内服薬を処方してもらうために月に1度のペースで通院することになります。

この記事では

  • 初診でかかる費用と診察の流れ
  • 糖尿病の診断方法
  • 糖尿病の治療の流れ
  • 治療内容別、医療費の概算について説明しています。

※記事の内容として医療費について説明していますが、糖尿病の治療は患者さんそれぞれで内容が異なります。

そのため前提として、糖尿病の外来治療では、治療内容(薬の種類や量・自己注射の種類や回数)、通院する医療機関、通院回数、合併症の状況や程度などによって医療費が異なることを念頭に置きながら読み進めてもらえればと思います。

初診でかかる費用と診察の流れ

初診でかかる費用(3割負担の場合)

初診でかかる費用は、内服薬の処方など無い場合で約2000円前後となることが多いです。

もし内服薬を1剤処方された場合は、1500円前後の追加費用となります。

 

費用の内訳は、主に医師による診察と検査にかかる費用からなります。

検査は主に、糖尿病の診断のために必要な項目のみの検査(血液検査と尿検査など)です。

しかし、糖尿病以外の生活習慣病が考えられる場合は、隠れた生活習慣病を評価するために、血液・尿検査以外の検査(心電図、エコー、眼底検査など)も追加で行われる場合があります。

初診での診察の流れ

初めて病院で診察を受ける場合の大まかな流れは以下の様になります。

  1. 問診表の記入
  2. 診察
  3. 検査(採血、検尿など)
  4. 検査結果の説明、今後の治療についての説明

血液検査や尿検査を外注している場合は、検査結果がでるまでに日数がかかります。

その場合は、検査結果やその後の治療については後日の説明となります。

まずは糖尿病かどうかを確定診断することが重要になります。

最初の検査で「糖尿病」と診断されることもありますし、「糖尿病疑い」という結果になることもあります。

検査結果が「糖尿病疑い」だった場合は、後日再検査となります。

 

糖尿病の診断や治療についても知りたい方は、次の頁で詳細を説明しますのでそちらも読んでもらえればと思います。

糖尿病の診断

糖尿病の診断は、「血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」の値で診断されます。

「血糖値」と言っても3つのタイプの血糖値(空腹時血糖値、ブドウ糖不可試験、随時血糖値)があるので、3つの血糖値とHbA1cについて簡単に解説してから、糖尿病の診断についてお話したいと思います。

【空腹時血糖値】

この検査は、最短8時間何も食べていない状態で測定される血糖値

糖尿病の診断基準: 空腹時血糖値が126 mg/dL以上

 

【ブドウ糖負荷試験 (経口ブドウ糖負荷試験、OGTT)】

この検査は、75gのブドウ糖溶液を飲んだ後2時間経過した時点での血糖値

糖尿病の診断基準: 2時間後の血糖値が200 mg/dL以上

 

【随時血糖値】

この検査は、食事のタイミングに関係なく測定した血糖値

糖尿病の診断基準: 随時血糖値が200 mg/dL以上

 

【HbA1c】

HbA1cは過去2~3ヶ月の平均血糖値を反映している血糖値

日々の血糖変動に影響されにくい指標とされている

糖尿病の診断基準: HbA1cが6.5%以上

 

初診で行った検査の結果によって、糖尿病かどうかの確定診断がつきます。

糖尿病の確定診断は少し複雑で、以下のアルゴリズムに沿って診断されます。

フローチャート

今後の治療の流れ

糖尿病と診断されると、血糖値の状況によって目標や治療方針が設定されていきます。

糖尿病の治療内容

糖尿病の治療は、

  1. まずは目標を設定
  2. それに向けて生活習慣(食事や運動)の見直しをベースに、必要に応じて薬物療法

といった流れで行われます。

設定する目標は、目的によって大まかに以下の様にされます。

  • 血糖値の正常化:HbA1c6.0%未満
  • 合併症予防:HbA1c7.0%未満
  • 治療強化が困難な場合:HbA1c8.0%未満

まずは、自身の生活習慣である食事や運動習慣について見直すことが重要となります。

食事療法

食事療法の基本は、規則正しく食事をとること、炭水化物・タンパク質・脂質をバランスよく摂取することを言います。

血糖値が糖質に起因するからと言って過度に糖質を制限することや、過食やバランスの悪い食事は、インスリンの抵抗性を増大させ高血糖を助長したり、血糖コントロールを乱す原因になりなるからです。

食事療法を細かく説明すると、カロリー計算をし、栄養素ごとに摂取量を考えることと言えます。

知りたい方は以下に具体例を記しておくので参考にしてもらえればと思いますが、まずは細かいカロリー計算の前に自身の生活リズムや食生活を見直すことが大切になります。

食事の回数・時間、食事の内容、飲酒量など改善できるところを見つけ出し、バランスの取れた食事を規則正しくきちんと続けることが重要になってきます。

食事療法の大まかな流れとしては以下の様になります。

  1. 適正なエネルギー摂取量を設定する
  2. 算出したエネルギー量から、糖質・タンパク質・脂質のバランスを考える
①適正なエネルギー摂取量を設定する
  • 身長から標準体重を導き出します標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22
  • 日々の活動量を標準体重にかけますデスクワーク主体:25~30立ち仕事主体:30~35力仕事主体:35~
②算出したエネルギー量から、糖質・タンパク質・脂質のバランスを考える
  • 5~6割を、炭水化物(4Kcal/g)でとる
  • 2割までをタンパク質(4Kcal/g)でとる
  • 残りのエネルギーを脂質(9Kcal/g)でとる

具体的に説明すると以下の様になります。

例)男性、37歳、身長172㎝、体重70kg、会社員(デスクワーク)

標準体重=1.72×1.72×22=約65kg

エネルギー摂取量=65kg×25=1625Kcal

  • 炭水化物:1625×0.55=約894 Kcal⇒約223g
  • タンパク質:1625×0.18=約293 Kcal⇒約73g
  • 脂質:1625-(894+293)=約438 Kcal⇒約47g

運動療法

運動療法では、定期的に運動することで筋肉量の増加を目的としています。

筋肉量が増えると、筋肉細胞のインスリンの感受性が向上し糖が筋肉に取り込まれやすくなります。

また、筋肉量が増えることで基礎代謝も上昇します。カロリーを消費する量が増えるので、過剰な血糖がエネルギーとしてより効率的に使用されます。

運動療法では、継続しやすい有酸素運動を中心に、筋力を向上させるレジスタンス運動(いわゆる筋トレ)を組み合わせて行うことが有効だと言われています。

薬物療法(内服薬、注射)

薬物療法では内服薬である経口血糖降下薬と、注射のインスリン療法があります。

薬物療法は、十分な食事療法や運動療法を2~3ヶ月行っても血糖コントロールが良好に行えなかった場合に適応となります。

初診で薬物療法が始まることは多くないので、ここでは詳細は割愛します。

通院のペース

糖尿病の治療が始まると、基本的に1ヶ月に1度のペースでの通院となります。

通院の際には毎回血液検査を行い、食事や運動について振り返りながら、血糖値がきちんとコントロールできているかを確認します。

診察が終わると、次の受診までの薬が処方されます。

治療内容別、医療費の概算

初診時の説明から治療の内容までを解説したので、今後継続して治療を行うに当たり負担しなければならない医療費についても簡単に触れておこうと思います。

 

日本の医療費は、「診療報酬」という制度で医療行為ごとに定められた点数で算出されます。

糖尿病の外来治療でよく見られるいくつかの例を基に概算を挙げておきますので、興味のある方は参考にしてみて下さい。

※費用は1回の受診時に必要な3割負担での医療費になります。診察には検査費用も含まれています。投薬がある場合は1剤か多剤かによって費用が異なるために金額に幅があります。

【投薬治療が無い場合】

  • 食事療法と運動療法のみで治療(診察のみ):約2000円

【投薬治療がある場合】

  • 内服薬のみ(診察+薬代):約3500~5000円
  • 内服薬+インスリン療法(診察+薬代+管理料など):約10000~15000円

糖尿病が進行するほど医療費も高くなります。また、糖尿病の進行に伴い他の生活習慣病を合併しやすくなります。

糖尿病を早期に発見し、治療を始めましょう。

執筆・監修

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こちらの記事は、下記の精神科医が執筆・監修しております。

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大澤亮太

  • 役職:医療法人社団こころみ理事長/(株)こころみらい代表産業医
  • 資格:精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医
  • 学会:日本精神神経学会

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