ウゴービ(一般名:セマグルチド)の効果と副作用

肥満症治療にウゴービが適応に

ウゴービ(一般名:セマグルチド)は、通常の肥満症(BMI27以上)から使うことができる日本で初めての治療薬で、厚生労働省から承認が予定されています。

今まで、肥満症の薬物治療といえば、BMI35以上の方の高度肥満症の治療薬サノレックス(一般名:マジンドール)だけでした。

ですがアンフェタミン(覚せい剤)類似作用があるため、依存性の観点から保険診療では使うことが少なかったのが実情です。

しかし、ウゴービという選択肢が増えることで、肥満症の薬物治療が大きく進展することが期待されています。

ここでは、ウゴービの効果と副作用について、その作用の仕組みから詳しく説明します。

ウゴービとは?

ウゴービ(一般名:セマグルチド)は、GLP-1受容体作動薬に分類される注射剤で、肥満症の治療薬です。

今まで、肥満症の薬物治療といえば、BMI(kg/m2)35以上の方の高度肥満症の治療薬サノレックス(一般名:マジンドール)だけでした。

ウゴービは、BMIが27以上でリスクが2つ以上ある方の肥満症から使うことができる日本で初めての肥満症治療薬で、厚生労働省から承認が予定されています。

BMI27というと、皆さんがイメージする肥満より太っていないことが多いです。具体的には、

  • 身長170㎝78㎏
  • 身長155㎝で65㎏

になりますので、油断しているとすぐに該当してしまう肥満です。

ウゴービは商品名で、一般名(成分名)はセマグルチドになります。

同じ成分で先発品として発売されているものに、糖尿病治療薬のオゼンピック注射剤・リベルサス錠があります。

ジェネリック医薬品(後発品)については、2023年現在では発売となっていません。

ウゴービの適応と効果

ウゴービ(一般名:セマグルチド)の適応としては、以下が認められています。

肥満症:ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。

  • BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
  • BMIが35kg/m2以上

肥満症とは?

肥満は「太っている状態」を指す言葉で、病気を意味するものではありません。

一方、肥満症は肥満に伴って合併症がある、または合併症になるリスクが高いため、治療の必要があります。

BMIが25以上かつ、肥満による11種の健康障害(合併症)が1つ以上あるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に初めて肥満症と診断されます。

また、BMIが35以上になると高度肥満症と診断されます。

日本肥満症学会HPより引用している図表です。

肥満症の薬物治療は、食事療法や運動療法などを実施したにも関わらず効果が不十分な人に対して、医師の判断により検討されます。

単に「やせたい」というだけでは、薬物治療を実施することはできません。

詳しく知りたい方は、肥満症の診断と新しい治療をお読みください。

ウゴービの効果とメカニズム

ウゴービはGLP-1というホルモンと似た作用をもつ治療薬で、ある特定の場所(=GLP-1受容体)を刺激し、効果を発揮します。

GLP-1とは食事をとることで分泌されるホルモンで、刺激する場所によって異なる作用を示します。

ウゴービのGLP-1作用により、食欲抑制・胃運動抑制が発揮されるため、体重減少効果が期待されています。

ウゴービの作用メカニズムを医師が解説します。

ダイエットは適応外

ウゴービを含むGLP-1受容体作動薬は、食欲を抑えることから、ダイエット目的に適応外使用されることが増えています。

自由診療クリニックなどで、バラまかれてしまったために、ウゴービと同じ成分のオゼンピック注射剤・リベルサス錠などの流通が不安定になり、治療で必要とする方に届きにくくなる事態となりました。

このため日本糖尿病学会は、健康な方へのエビデンスがないとして警鐘をならしていました。

今回のウゴービの登場により、キッチリした肥満症治療目的での保険診療が可能になることは、非常に意義があることになります。

ウゴービの用法

ウゴービの用法は、以下のようになっています。

  • 週1回0.25mgから開始し、最終的には週1回2.4mgを注射する(適宜減量)

あくまで治療目的での減量のみ、保険適応となります。

以下では、ウゴービと同一成分であるオゼンピックの添付文章をご紹介させていただきます。

ウゴービの副作用

ウゴービと同成分(セマグルチド)・同剤形(注射剤)であるオゼンピックの主な副作用は、

  • 悪心、下痢、便秘、嘔吐等の胃腸障害です。

食欲減退も見られますが、ウゴービはそれを活かして治療薬としているため、こちらでは割愛します。

オゼンピックの重篤な副作用としては、低血糖、急性膵炎があります。

低血糖

オゼンピックだけを使用する場合は、低血糖は起こりにくいです。

ですが、糖尿病の治療薬を併用すると血糖値が下がりやすくなり、低血糖症状を起こすことがあります。

低血糖症状には、空腹感、発汗、ふるえ、動悸、だるさ等があります。

急性膵炎

オゼンピック開発時の臨床試験では、日本人の急性膵炎はあまり報告されていませんでした。

ですが他のGLP-1受容体作動薬では報告されているため、メカニズム的には注意が必要です。

急性膵炎の症状には、激しい腹痛、激しい背中の痛み、吐き気、嘔吐等があります。

ウゴービのまとめ

  • ウゴービは通常の肥満症に使用できる日本で初めての治療薬で、厚生労働省から承認が予定されています。
  • ウゴービは週1回タイプの注射剤です。
  • ウゴービをダイエット目的で使用するのは適応外使用にあたり、健康な方へのエビデンスもありません。

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大澤 亮太

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大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:肥満症治療薬  投稿日:2023-03-04

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