水痘ワクチン

水痘(水ぼうそう)ワクチンについて

水痘ワクチンについて

水痘ってどんな病気?

水痘は「水ぼうそう」のことです。
水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる、発疹性の感染症です。
子どもに多く見られる病気ですが、成人や妊婦さんが感染すると重症化しやすい特徴があります。

名称 水痘ワクチン
定期 / 任意 定期接種
ワクチンの種類 生ワクチン
接種方法 皮下注射
接種開始時期 1歳から可能
費用 定期接種:無料
任意接種:約5,000円〜1万円(医療機関による)

水痘の症状は?

発熱と全身の発疹が主な症状です。発疹にはかゆみを伴います。

発疹は紅斑(赤くなる)から始まり、丘疹(盛り上がった発疹)、水疱(水ぶくれ)、膿疱(粘度のある液体がたまる)、痂皮化(かさぶた)し治癒します。
新しい発疹が次々と現れるため、異なる段階の発疹が混在します。

水痘にかかるとウイルスが体内に潜伏し、免疫力が低下したときに帯状疱疹として再発することがあります。

水痘はどうやって感染するの?

空気感染、飛沫感染、接触感染によって広がります。水痘は感染力が非常に強く、1人の感染者から8〜10人に感染すると言われています。

潜伏期間は約2週間あるため、発疹が出る前に他の人にうつしてしまうこともあります。

重症化のリスクと妊娠中の水痘

妊婦さん

大人が水痘に感染すると、小児と比べて症状が重くなる傾向があります。
重症化すると、高熱や様々な合併症(敗血症、脳炎、髄膜炎、肺炎など)を引き起こすことがあります。

妊娠中の水痘

妊娠中の水痘感染は特に注意が必要です。
妊娠13〜20週に水痘に感染すると、ウイルスが胎盤を通じて胎児に感染することがあり、約2%の確率で先天性水痘症候群を引き起こします。
先天性水痘症候群の症状は皮膚の瘢痕、四肢の低形成、眼症状(小眼球症など)、神経症状(小頭症、水頭症など)です。
出産前5日から産後2日以内の感染を周産期水痘と呼びます。
この場合、新生児が水痘を発症する率は約30〜50%で、死亡率は約30%と非常に高くなります。

予防と対策

妊娠前に水痘ワクチンを接種することが最も効果的な予防策です。
水痘ワクチンは生ワクチンのため、妊娠中に接種することはできません
妊娠を希望する女性は、妊娠前に抗体検査を受け、必要に応じてワクチン接種を行うことが推奨されます。

水痘の予防接種について

医者とお母さんと赤ちゃん

水痘ワクチンは2014年10月から定期接種(無料)として行われています。
以前は年間約100万人が水痘を発症し、約20人が亡くなっていると推定されていました。
定期接種が導入されてからは、その数は減少傾向にあります。

水痘ワクチンは、MRワクチンやおたふくかぜワクチンと同時接種が可能です。

定期接種のスケジュール

2回接種が必要です。

  • 1回目:生後12ヶ月から生後36ヶ月未満  ※1歳を迎えたら早めに接種しましょう
  • 2回目:1回目の接種から3ヶ月以上あけて行う

すでに水痘にかかったことがある場合の予防接種は?

水痘にかかったことのある人は免疫を獲得していると考えられ、基本的には水痘の定期接種の対象外となります。
心配な場合はかかりつけの医療機関に相談してください。

水痘ワクチンの効果と副反応について

水痘ワクチンは非常に高い予防効果を持ち、1回の接種で約77%、2回の接種で約94%の効果が得られます。
また、長年にわたり多くの国で使用されており、安全性も十分に確認されています。

副反応として発疹や発熱がみられることがありますが、通常は数日で治まります。
重篤な副作用は非常にまれです。
水痘ワクチン接種によるリスクは、自然感染による水痘罹患のリスクと比較して非常に低いと言えます。
特に成人や、免疫力が低下している人が水痘に感染した場合、重症化のリスクが高まるため、ワクチン接種のメリットは大きいと考えられます。

水痘かな?と思ったら

かゆがる赤ちゃん

水痘が疑われる場合は、受診をする前に医療機関に連絡してください。
水痘は感染力が非常に強い病気です。
事前連絡することで医療機関側は適切な感染予防対策を取ることができます。

学校や保育園への対応:出席停止の対象

水痘は学校保健安全法で第二種学校感染症に指定されており、全ての発疹がかさぶたになるまで出席停止と定められています。
登校・登園許可証の提出を求められる場合が多いので、学校や園に確認してください。

ワクチン接種を受けて感染リスクを減らそう

水痘(水ぼうそう)はワクチン接種によって感染リスクを大幅に減らすことができます。大人や妊婦さんが感染すると重症化しやすいため、適切な時期に予防接種を受けることが重要です。家族みんなで予防接種を受けて、お子さんとご自身の健康を守りましょう。

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カテゴリー:こどものワクチン  投稿日:2024-11-23

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