糖尿病こころみ医学

私は糖尿病?境界型?糖尿病の診断基準について

  • 更新日:2020年01月15日 19:50
  • 作成日:2019年12月23日 22:00

血糖値が高い=糖尿病?

健康診断で、「血糖値が高い」という結果になったとき、「自分は糖尿病?」と気になってしまう方が多いと思います。

糖尿病は、

  1. 糖尿病型
  2. 境界型
  3. 正常型

の3つに分かれています。これらの病期を決定する項目として、

  • 空腹時血糖値
  • 糖分負荷後2時間血糖値
  • HbA1c

の3つの項目で病気を決定します。ここでは糖尿病の診断基準についてまとめています。ご自分が糖尿病かどうか確認してみましょう。

糖尿病とはどういう病気?

糖尿病とは、

  • 血糖値を下げるインスリンの作用不足によって、慢性的に高血糖状態が続いてしまう病気

です。

インスリンは私たちの体で作られるホルモンの中で、唯一血糖値を下げる働きがあるホルモンです。血糖値を上げるホルモンは沢山ありますが、血糖値を下げられるのはインスリンのみになります。

糖尿病になると、

  • インスリンが分泌されなくなる
  • 分泌はされるが十分に作用しなくなってしまう

いずれかの状態がおこり、炭水化物・脂質・蛋白質の代謝障害が起きて、慢性的に血糖値が上昇してしまいます。

多くの糖尿病症例は糖尿病だけでなく、

  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 腎障害
  • 網膜症
  • 大血管疾患

などが合併し、病気の進行とともに合併症も増加していきます。

現在、予備軍も含めると、成人の6.3人に1人が糖尿病とも言われています。

糖尿病の1型と2型

糖尿病は、

  • 1型
  • 2型

に分けられ、その性質がまったく異なります。

1型糖尿病は、

  • 主に小児〜青年に生じる
  • 患者はやせている人が多い
  • 自己免疫や遺伝によるものがほとんどである

といった特徴があり、原因は

  • インスリンを出す膵臓のランゲルハンス島β細胞の破壊・消失

です。

    一方の2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす素因を含む複数の遺伝因子に、

    • 運動不足
    • 過食(主に高脂血症)
    • 肥満
    • ストレス

    などの環境要因が加わった病気です。一般的に「生活習慣病」として言われる糖尿病は、こちらの2型糖尿病を指します。

    主に中高年から発症する病気ですが、近年は欧米化の食事に伴い、小中学生にも、2型糖尿病を認めることがしばしばあります。

    • インスタン食ばかり食べている
    • お菓子やジュースを多く摂取している
    • テレビゲームばかりで運動をほとんどしない
    • 太っている

    上記の特徴がある場合には、年齢関係なく発症するので注意が必要です。

    糖尿病を診断する検査数値とは?

    糖尿病は、

    1. 空腹時血糖値
    2. 糖分負荷後2時間血糖値
    3. HbA1c

    の3つの検査数値から診断する値です。普通の健康診断ですと

    • 血糖値
    • HbA1c

    しか出ていないかと思いますが、診断の際には

    1. 空腹時血糖値
    2. 糖分負荷後2時間血糖値

    の両方の値が必要になります。

    1.空腹時血糖値

    血糖値は、1日の中で変動が激しい数値です。糖自体が体のエネルギー源になるため、常に血液を通して全身に運んでます。

    そしてこの糖分は、食事を摂取することで得られます。食べ物を消化した直後から血糖値が上昇し、1時間後ぐらいには大体ピークに達します。

    そのため、血糖値は

    • 食事前(空腹時)
    • 食後

    かで判断が変わります。

    なお、空腹時血糖値は、一般的には早朝時の値を示すことが多いです。

    寝てる間絶食状態なので、朝起きた直後が一番空腹状態だからです。

    2.糖分負荷後2時間血糖値

    一般的には随時血糖値とも言われる値で、

    • ぶどう糖を75g摂取した後の2時間後の血糖値

    を糖分負荷後血糖値と定義しています。

    朝食を摂った後に病院で採血や健康診断を受けた場合は、こちらの値に該当します。

    正確なぶどう糖負荷試験を行いたい方は、病院を受診して測定することが必要になります。

    3.HbA1c

    HbA1cは、「ヘモグロビン エーワンシー」と読みます。これは

    • 過去1~2か月間の血糖値の平均値

    に反映される数値です。

    ヘモグロビンとは、我々の酸素を運ぶ赤血球の成分です。このヘモグロビンが糖分と結合している割合が、HbA1cとして示されます。

    HbA1cの正常値は、大体4.6%~6.2%と言われています。

    ただし、赤血球のヘモグロビンは、糖尿病以外にも上下する可能性があります。

    <HbA1c値が高い時>

    • 鉄欠乏状態

    <HbA1c値が低い時>

    • 鉄欠乏が改善している時
    • 溶血性貧血
    • 腎性貧血

    <どちらもなり得るもの>

    • 異常ヘモグロビン

    このように、血液の病気がある方は、糖尿病にかかわらずHbA1cが上下する可能性があります。

    なお、HbA1cは、これまでわが国ではJapan Diabetes society(JCS)として表記していましたが、その他の国々は、National Glycohemoglobin Standardization(NGSP)で計算されていました。

    これでは表記によって値が変わって紛らわしいため、日本糖尿病学会で、は2014年4月1日以降はNGSPのみの表記とするようになっています。

    その換算は、

    •  JCSで4.9%以下は、0.3%加えてNGSP
    • JCSで5~9.9%では、0.4%加えてNGSP
    • JCSで10%以上では、0.5%加えてNGSP

    として使用するように示されています。(つまり、NGSP=JCS+0.3%~0.5%)

    糖尿病の診断基準は?

    それでは具体的に、どの値がどうであれば糖尿病と診断されるかみていきましょう。糖尿病は、

    1. 早朝空腹時血糖値が126以上
    2. 随時血糖値(糖分負荷試験血糖値)が200以上
    3. HbA1cが6.5%以上

    のどれかが当てはまると「糖尿病型」と診断されますが、どの値が高かったかによって、細かく規定があります。

    2016~2017年の糖尿病ガイドラインを参考にした図が以下のものです。

     

    健康診断での血糖値は、空腹時か随時血糖値か判断できないため、厳しめの基準で

    • 126以上で糖尿病疑い

    と記載されてます。

    会社などの健康診断では、食事をした数時間後に採血することが多いと思いますので、その場合は随時血糖値として考えます。そのため、

    • 血糖値が126~199と測定された方は糖尿病と断定できず「糖尿病疑い」

    となります。

    一方で、

    • 血糖値が200以上で、かつHbA1cが6.5%以上

    の方は、

    • 健康診断の結果の時点で糖尿病と診断

    されます。

    しかし、それ以外の方も安心はできません。

    1. 血糖値が126以上から200未満でも、HbA1cが6.5%以上
    2. HbA1cが6.5%未満でも、血糖値が200以上

    の場合は、黒と断定できなくても、白ともいえない灰色の方です。そのため、再検査を1か月以内にすることが推奨されています。

    1.のケースでは、糖尿病特有の症状があれば確定診断できるとなっています。

    典型的な糖尿病の症状としては、

    1. 口渇
    2. 多飲
    3. 多尿
    4. 体重減少
    5. 糖尿病網膜症

    が挙げられていますが、なかなか症状だけでは分かりづらいとは思います。ぜひ、再検査を受けるようにしてください。

    再検査での基準

    再検査では、

    • 血糖値
    • HbA1c

    が片方でも基準値を上回れば、糖尿病と診断されることになります。

    そこで糖尿病と確定診断つかなかった方も、再度3~6か月以内に血糖値を測定が求められます。空腹時血糖値と負荷後2時間血糖値の値によっては、境界型の糖尿病の疑いがあるのです。

     

     

    このように、

    • 空腹時血糖値が110から126
    • 負荷後2時間血糖値が140から200

    のどこか一つの項目が当てはまると、糖尿病境界型と診断されます。この糖尿病境界型は、徐々に発症しているパターンと徐々に改善しているパターンが混在しているため、糖尿病境界型と診断された方も定期的に血糖値およびHbA1cを測定した方がよいと考えられています。

    糖尿病は、発病したからといってすぐに症状が出る病気ではありません。そのため数値でいわれてもピンとこない人も多い病気です。

    血糖値の数値で一喜一憂するのではなく、日々の生活を見直すいい機会にしてみてください。

    糖尿病についてさらに詳しくは、【医師が解説】糖尿病の症状・診断・治療をお読みください。

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