夜間頻尿が抑えられる糖尿病治療薬
デベルザはSGLT2阻害薬に分類される2型糖尿病の治療薬で、「de beleza」というポルトガル語で「美」を意味する単語が名称の由来となっています。
デベルザは膵臓ではなく腎臓に作用することで効果を発揮し、血糖値を改善することができます。そのメカニズムとして、余分な糖分を尿として体外へ排出することがあげられます。
デベルザの特徴は、その作用時間の短さ(半減期の短さ)にあります。
SGLT2阻害薬では尿に糖を排出するため、水分が引っ張られて頻尿になる副作用がありますが、デベルザでは夜に作用を抑えることで夜間頻尿の副作用を抑えることができます。
一方で糖の吸収を抑えるため、薬を飲むだけでやせると安易に宣伝されているため、ダイエット目的での適応外使用が問題にもなっています。
ここでは、デベルザの効果と副作用について、その作用の仕組みから詳しく説明します。
デベルザとは?
デベルザは国内で創製・開発された糖尿病治療薬です。
デベルザはSGLT2(エスジーエルティー・ツー)阻害薬に分類される錠剤で、2型糖尿病に使用できますが、フォシーガと違い、心臓や腎臓に対する適応は承認されていません。
デベルザは商品名で、一般名(成分名)はトホグリフロジンです。
デベルザは先発品で、ジェネリック医薬品は販売されていません。
デベルザの適応と効果
デベルザ(一般名:トホグリフロジン)の適応としては、以下が認められています。
- 2型糖尿病
あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること
デベルザの用法
デベルザの用法は、以下のようになっています。
- 20mgを1日1回朝食前または朝食後に服用する
デベルザの半減期
デベルザの大きな特徴のひとつは、半減期が非常に短いことです。
実際、SGLT2阻害薬の中で最も半減期が短いことが知られています。
このため夜の尿糖排泄が少なくなるので、夜間頻尿になる副作用が少なくなるメリットがあります。
【SGLT2阻害薬の半減期(平均値)】
薬剤名 | 半減期(h) |
---|---|
デベルザ | 5.40 |
スーグラ | 11.71 |
フォシーガ | 12.1 |
ルセフィ | 11.2 |
カナグル | 11.7 |
ジャディアンス | 9.88 |
半減期(t2/1):ある物質の量が半分に減少するために費やす時間。薬剤が体内から排泄される際の速度を表す指標。
デベルザの効果とメカニズム
まず最初に、高血糖時の尿糖排泄について説明します。
- 血液中の糖が腎臓で濾過されます。
- 濾過された糖は主にSGLT2の働きで血液中に再吸収されます。
- 再吸収しきれなかった糖が尿として排泄されます。
※SGLT2(エスジーエルティー・ツー):糖を運ぶたんぱく質のひとつ。SGLT1も腎臓に存在しているが、腎臓で糖の再吸収に関わるのは主にSGLT2である。
デベルザを服用するとどうなるでしょうか。
- 血液中の糖が腎臓で濾過されます。
- デベルザがSGLT2による再吸収を妨げます。
- 再吸収しきれない糖が増え、尿中へ排泄される糖が増えます。
デベルザを服用すると血液中へ戻る糖が減少するため、血糖値が低下します。
デベルザの副作用
デベルザの主な副作用として
- 頻尿
- 口渇
- 便秘
- 膀胱炎等の尿路感染
- 尿量増加
が報告されています。
重篤な副作用としては、低血糖、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症、脱水、ケトアシドーシスがあります。
※詳しく知りたい方は、『SGLT2阻害薬の効果と副作用』をお読みください。
デベルザの剤型と薬価
デベルザの剤型と薬価は以下の通りです。
- 先発品:20mg錠 176.1円
- 後発品:未発売
※2023年4月現在
デベルザのまとめ
- デベルザはSGLT2阻害薬に分類される糖尿病治療薬です。
- デベルザを服用すると腎臓において血液中へ戻る糖が減少するため、血糖値が低下します。
- デベルザを服用すると尿量が増えるため、朝の服用となっています。
- デベルザはSGLT2阻害薬の中で半減期が短いため、夜間頻尿を防ぐ効果がある程度は期待できます。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:糖尿病治療薬 投稿日:2023-06-02
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