シュアポスト(一般名:レパグリニド)の効果と副作用

グルファスト同様に低血糖リスクの低い糖尿病治療薬

シュアポストは2型糖尿病の方に使用できるお薬です。

シュアポストは膵臓からのインスリン分泌を促すタイプの血糖降下薬で、効果が出るのが早く持続時間が短いのが特徴です。

そのため、食後高血糖にお悩みの患者さんにぴったりのお薬です。

ここでは、シュアポストの効果と副作用について、その作用の仕組みから詳しく説明します。

シュアポストとは?

シュアポストは世界100ヶ国以上で承認・販売されている2型糖尿病治療薬で、グリニド薬に分類されます。

グリニドとは一般名の語尾に由来した分類名で、速効型インスリン分泌促進薬とも呼ばれています。

シュアポストは膵臓に作用してインスリン分泌を促進しますが、作用発現が早いため食事をとる直前の服用となっています。

シュアポストは商品名で、一般名(成分名)はレパグリニドです。

シュアポストは販売されてから年月が経っているため、ジェネリック医薬品が販売されています。

シュアポストとグルファストの違い

同じグリニド薬に分類されるお薬としてシュアポストがあげられているため、両剤を表にまとめてみました。

シュアポスト表

シュアポストの適応と効果

シュアポスト(一般名:レパグリニド)の適応としては、以下が認められています。

  • 2型糖尿病
    食事療法・運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること

シュアポストの効果とメカニズム

シュアポスト

シュアポストは膵臓のβ細胞に作用し、インスリン分泌を促進します。

細胞の中では次のような作用機序が起こっています。

  1. シュアポストが膵β細胞のSU(エス・ユー)受容体に結合する
  2. ATP感受性K+チャネルを遮断する
  3. インスリン分泌を促進する

SU薬(スルホニル尿素薬)と同じ作用機序ですが、SU薬と比べて作用発現が早く、効果持続時間が短くなっています。

また、シュアポストを増量した場合、第二世代のSU薬と比べてもHbA1cの低下効果に差がなかったとの海外報告もあります。

シュアポストの用法

シュアポストの用法は、以下のようになっています。

  • 0.25~0.5mgを1日3回食前に服用する(適宜増減)

シュアポストを食後に飲んでもいいの?

シュアポストを食前に飲み忘れた場合、決して食後に服用しないでください。

食後に服用しても速やかに吸収されないため、十分な血糖降下が期待できません。

食前に飲み忘れたら、1回とばして次の食前に1回分服用してください。

腎機能が低下している場合は?

腎機能が低下している場合は、血中濃度が上昇し低血糖を起こす可能性があります。

シュアポストの副作用

シュアポストの主な副作用として

  • 倦怠感
  • 浮動性めまい
  • 下痢
  • 便秘

が報告されています。

重篤な副作用としては、低血糖、肝機能障害、心筋梗塞があります。

→※詳しく知りたい方は、『グリニド薬の効果と副作用』をお読みください。

シュアポストの剤型と薬価

シュアポストの剤型と薬価は以下の通りです。

シュアポストは販売されてから年月が経っているため、先発品の薬価も大分下がっています。

シュアポスト価格表

シュアポストのまとめ

  • シュアポストの効果は、肝臓からのインスリン分泌を促して血糖値を是正することです。
  • シュアポストは食後に服用しても速やかに吸収されないため、十分な血糖降下が期待できません。
  • シュアポストを食事30分以上前に服用すると、食事をとる前に低血糖を起こす可能性があります。

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大澤 亮太

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大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:糖尿病治療薬  投稿日:2024-01-09

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