週1回タイプの血糖降下薬
マリゼブは2型糖尿病の方に対して使用できるお薬で、週1回服用するだけで血糖値の低下が期待できます。
マリゼブのようなタイプのお薬は低血糖や体重増加のリスクが低いため、安全性が高いと考えられています。
ここでは、マリゼブの効果と副作用について、その作用の仕組みから詳しく説明します。
マリゼブとは?
マリゼブはDPP-4(ディーピーピー・フォー)阻害薬に分類される錠剤で、2型糖尿病に使用できます。
マリゼブはMSDが製造販売し、2020年4月よりキッセイ薬品に販売移管されているお薬です。
将来的には製造販売承認についてもキッセイ薬品が承継することで合意しているそうです。マリゼブは週に1回服用するタイプの錠剤なので、他の糖尿病治療薬から変更することでQOLの向上に役立つ可能性があります。
同じように週1回服用するタイプの糖尿病治療薬としてザファテックも存在しており、違いについては後述します。
マリゼブは商品名で、一般名(成分名)はオマリグリプチンです。
マリゼブは先発品で、ジェネリック医薬品は販売されていません。
マリゼブとザファテックの違いとは?
マリゼブの適応と効果
マリゼブ(一般名:オマリグリプチン)の適応としては、以下が認められています。
- 2型糖尿病あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること
マリゼブの効果とメカニズム
まずはインクレチンの働きについて説明します。
インクレチンは食事をすると小腸から分泌される物質で、膵臓のインスリン分泌を促し血糖値を下げる働きがあります。
インクレチンは空腹時には効果を発揮せず、食事によって血糖値が上昇した時にのみ働くという非常に特異的な作用を持っています。
ただ、インクレチンはDPP-4(ディーピーピー・フォー)という物質によって短時間で分解されてしまうため、実際に作用するのは産生されたインクレチンの一部にすぎないのが現状です。
インクレチンの種類として、GIPやGLP-1が確認されています。
つまり、マリゼブのメカニズムは次のように説明できます。
- DPP-4を阻害しインクレチン(GLP-1等)が分解されるのを防ぐ
- 膵臓に作用するインクレチンの量が増えるため、インスリン分泌が促される
- 血糖値が下がる
また、2型糖尿病患者さんにマリゼブを週1回3ヵ月間投与した場合、最終投与7日後にも82.6%のDPP4阻害効果を示しています。
週1回の服用でも、インスリン分泌を促し血糖値を抑制し続けていることが読み取れます。
マリゼブの用法
マリゼブの用法は、以下のようになっています。
- 25mgを週に1回服用する
腎機能が低下している場合は?
マリゼブは腎排泄型のお薬のため、腎機能が低下している場合はお薬を慎重に服用する必要があります。
マリゼブを飲み忘れた場合は?
マリゼブを飲み忘れた場合は、決して2回分を一度に服用しないでください。
気がついた時に、できるだけ早く飲み忘れた分(1回分)を服用してください。
その後は、あらかじめ定められた曜日に服用してください。
マリゼブの副作用
マリゼブの主な副作用として
- 便秘
- 湿疹
が報告されています。
重篤な副作用としては、低血糖、急性膵炎、腸閉塞、類天疱瘡があります。
マリゼブのまとめ
- マリゼブは週1回服用型の血糖降下薬で2型糖尿病にのみ使用できます。
- マリゼブはザファテック同様、週1回の服用で高いDPP-4阻害効果を示すため、服薬回数の減少による生活の質の向上が期待できます。
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執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:糖尿病治療薬 投稿日:2023-12-21
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