SGLT2阻害薬の副作用
SGLT2阻害薬を服用することで尿中の糖が増えるため、主に膀胱炎等の尿路感染症、膣カンジダ症等の性器感染症が懸念されています。また、尿量増加による頻尿にも注意が必要です。
SGLT2阻害薬の副作用と頻度は、以下のように報告されています。
各SGLT2阻害薬の副作用と頻度(%)

(各製品インタビューフォームより集計)

また、重篤な副作用として下記の症状に注意が必要です。
低血糖
SGLT2阻害薬だけを使用する場合は低血糖は起こりにくいのですが、併用薬の効きが良くなるため注意が必要です。
低血糖症状には、空腹感、発汗、ふるえ、動悸、だるさ等があります。
腎盂腎炎
腎盂腎炎(じんうじんえん)は尿路感染症のひとつです。
SGLT2阻害薬を服用すると尿中の糖が増えるため、尿路感染症の副作用に注意が必要です。
腎盂腎炎の症状には、寒気、ふるえ、 発熱、背中をたたくと痛い等があります。
外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)
フルニエ壊疽(えそ)は、尿路感染が進展した症状です。
SGLT2阻害薬を服用すると尿中の糖が増えるため、尿路感染症の副作用に注意が必要です。
フルニエ壊疽の症状には、陰部の痛み、陰部の皮膚が赤~赤紫色に腫れる、痛みを伴う水ぶくれができただれたりする等があります。
敗血症
敗血症は、特定の細菌に感染したときに起こります。
SGLT2阻害薬を服用すると尿中の糖が増えて細菌が繁殖しやすくなるため、注意が必要です。
敗血症の症状には、発熱、寒気、脈が速くなる、体がだるい等があります。
脱水
SGLT2阻害薬を服用すると、尿量が増えることで体内の水分量が減るため、脱水に注意が必要です。
脱水症状には、口の渇き、立ちくらみ、めまい、体に力が入らない等があります。
ケトアシドーシス
SGLT2阻害薬はその作用機序からケトアシドーシスに注意が必要です。
ケトアシドーシスの症状には、意識の低下、吐き気、嘔吐、腹痛等があります。
ショック・アナフィラキシー
SGLT2阻害薬に特有の症状ではありませんが、ショック・アナフィラキシーに注意が必要です。
ショック症状には、冷汗、めまい、意識消失等があります。
アナフィラキシー症状には、全身の痒み、蕁麻疹、ふらつき等があります。
ダイエットは適応外
SGLT2阻害薬は過剰な糖を尿として排泄することから、ダイエット目的に適応外使用されることが増えていますが、保険が使えず、また重大な副作用が生じた場合に救済制度の対象外ともなります。
肥満症の治療薬としては、BMI27以上で生活習慣病リスクが2つ以上ある場合のみ、セマグルチド(商品名:ウゴービ)の使用が認められています。
SGLT2阻害薬の特徴
SGLT2阻害薬の特徴は下記の通りです。
- 単独では低血糖の危険性が低い
- 血糖値が高い患者さんでの効果が期待できる
- 心血管疾患や腎疾患に対する効果が期待できる
単独では低血糖の危険性が低い
SGLT2阻害薬の血糖降下作用はインスリンを介さないため、単独では低血糖の危険性が低いとされています。
また、SGLT2が阻害されるとSGLT1(※)による再吸収が若干増加することも要因のひとつと考えられます。
※糖を運ぶたんぱく質には主にSGLT1・SGLT2があり、腎臓で糖の再吸収に関わるのは主にSGLT2
血糖値が高い患者さんでの効果が期待できる
糖尿病患者さんはSGLT2の働きが強く現れ、正常よりも多くの糖を吸収していると考えられています。
そのため、SGLT2阻害薬で高い治療効果を期待することができます。
心血管疾患や腎疾患に対する効果が期待できる
SGLT2阻害薬では心血管疾患や腎疾患に対するデータが示されています。
また、エビデンスのない薬剤の多くも効果を検証しており、適応が追加される薬剤が増えることが期待できます。